【現役慶応生が米国MBAの先生と勉強する奮闘記】                ⑥サーバントリーダーシップ(対話型)   

こんにちは!現役慶應義塾大学生の大川です!
色々なご縁が重なって米国大学院MBAの齋藤先生の元でインターンをさせて貰っています。今回は”組織行動論”の中の「サーバントリーダーシップについて」詳しく聞いてみました😆
リーダーシップ論や経営学に興味ある方、就職活動や転職活動に生かしたい方、またはそれ以外の皆さまもぜひぜひ最後までご参照下さいね!

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本編スタート↓

慶應生
大川

第6回ということで、本日もよろしくお願い致します。
今回のお題は「サーバントリーダーシップ」ということですが、サーバントとは”使用人・召使い”という意味ですよね。理想のリーダーシップとは真逆の性質の気がしますが、これがリーダーシップとどのように関係しているのでしょうか?

JB先生

大川さん、確かにサーバントにはそのような意味もありますが、”奉仕者”という意味もあるんですよ笑 今回は、自らが「奉仕して導く」ところに焦点を当てたリーダータイプのお話をしていきます。サーバントリーダーシップについてMBA流に一緒に学んでいきましょう!

サーバントリーダーシップとは、1970年代にアメリカのロバート・K・グリーンリーフによって提唱され、近年注目されている理論です。
メンバーに奉仕の気持ちをもって接し、その能力を最大限に発揮するよう導く”というリーダーシップの考え方になります。

慶應生
大川

リーダーシップにも様々なタイプがあると思いますが、今回は、仲間を思いやる気持ちや奉仕する気持ちを持つリーダーのタイプなんですね。だから、”サーバント”リーダーシップになるわけなんですね!今時、特に会社の組織の中ではこのようなタイプの方こそ、周りの信頼を獲得できるような気がします。

JB先生
慶應生
大川

確かに、従来は年功序列などの日本型雇用が一般的でしたので、年を重ねること(年次が上がること)で半強制的に役職や権威が与えられました。そのため、地位を得た人が理不尽な命令や行動をするのを否定することはあまり出来ませんでしたよね。
けれども、最近は実力主義の風潮が強く、ただ年次を重ねるだけで自動的には役職は降ってきません。その方の人柄能力を重視するので、リーダーがメンバーを大切にするのは必然的ですし、上に立つなら意識したいですね。

JB先生

はい。ただし、人柄などを重視するとは言っても、ただ優しいだけではダメなんですよ。ただの優しいだけのリーダーだと、「メンバーの主張をすべて聞き入れてしまったり」「メンバーの成長に無関心」という行動を取ることがあります。優しさに見える行為とは、実は無責任の表れかもしれないので注意が必要なのです。

慶應生
大川

この間、人事の方に面白い話を聞きました。私は入社したら、出来るだけ早くからマネジメントの経験を積んだり、役職を上げていきたいと考えているのですが、そのアドバイスを聞いた時です。「部下を持つと言うことは、本当にその人を思った行動や態度を取れることが重要なんです。ただ優しいというだけではなく、時には叱ったり厳しい言葉も言わなければなりません。その言動や態度に責任を持つ覚悟が必要なんですよ」とその方は仰っていました。優しく見えるが自分が良い格好をしたいだけとか、面倒だからなあなあにしておくのは1番良くないですよね。子供じゃないからこそ、身近ながら自分を叱ってくれる存在や、仲間を大事にしてくれる存在は大事にしたいです。

JB先生

その人事の方の言葉は、気持ちが入っていますね。きっと過去に苦い経験をしたのかもしれません。私もそうです(笑)

最近は叱ることが出来る大人が減っている傾向にあります。褒めて伸ばすことも大事ですが、時には然るべき態度と言葉を使い分けることも私は重要だと考えています。

JB先生

続いて、サーバントリーダーシップの重要性について話していきましょう。

このような状況ではサーバントリーダーシップの重要性は2つの背景から語ることができます。
1つ目が、「現代の不安定な社会状況における、支配型リーダーの限界」です。今注目されている背景には、急激に広がるグローバリゼーションや多様な働き方の推進、デジタル技術の進歩などVUCA時代にどう対応していくかが問題になります。
もはや一人の支配型リーダーに指示や管理をすべて委ねていては間に合いませんし、また革新的なイノベーションも創出されません。メンバー一人ひとりの特性と能力を理解し、成果を生み出しながら成長していける環境を作り上げていく”支援型リーダー”の存在が不可欠となっているのです。

慶應生
大川

変化の激しい、行先の見えない時代と言われます。そんな時代に生きる私たちは、メンバー1人1人を大切にしていかなければなりませんし、その環境を作り出していくことは重要ですね。

JB先生

そして 2つ目が、「心理的安全性の必要性」です。
チームの生産性を高める重要な要素として注目し、近年の組織開発において流行でもあり常識にもなりつつある”心理的安全性”という考え方があります。「チームメンバーに非難される不安を感じることなく自由に意見を伝えられる状態」のことを指し、チーム全体でこの雰囲気を確保できているチームは、日頃から相互に気軽な相談がなされ、失敗を恐れずにチャレンジが発生しやすいために、高い成果が出やすいと言われています。

サーバント・リーダーシップはリーダーシップの1つのスタイルではなく”経営哲学”のようなものなんです。

慶應生
大川

なるほど。。。前提として、チームの信頼性を上げておくことが必要ですね。

「仕事とプライベートは別」なんて言う方もいるかもしれませんが、そうこう言う前にチーム内の仲を深めておくことは必要ですよね。ギスギスした険悪な雰囲気では仕事効率が下がってしまうかもしれません。

JB先生

その通り!仲が悪くても仕事は出来ますが、あまりメリットはありません。

JB先生

そして、サーバント・リーダーシップには10の特性があります。

10の特性を説明する前に、サーバントリーダーシップの特徴は3つのカテゴリーに分けることができます。
1つ目が
ビジョナリーです。これは”視座の高さ”という意味でもあり、「未来の可能性を見据えてメンバーにビジョンを打ち出すことです。
2つ目が
サーバントハートです。これはその人の”マインド”の意味でもあり、「相手の立場でサポートする」というマインドセットを意識することです。
3つ目が
成長支援になりますが、これは「一歩引いて仲間の成長機会を創る」ということになります。

慶應生
大川

サーバントリーダーシップの特徴は視座・マインド・サポートの3つの観点に分けられるのですね。各カテゴリーの内容についてもう少し詳しく教えて下さい!

JB先生

もちろんです! では【ビジョナリー】から紹介していきましょう。ビジョナリーは視座の高さとも言い、3つの種類があります。

【概念化】大きな夢やビジョンを持ち・志が高く、それを相手に伝えることができるかがポイントになります。
【気づき】物事をありのままに見ることができ、自分に対しても相手に対しても気づきを得たり、相手に気づきを与えることができるかがポイントです。
【先見力・予見力】現在・過去を鑑み、将来を予想することができるかがポイントになります。

JB先生
JB先生

最後が【成長支援】です。成長支援には3つの種類があります。

【執事役】自分の利益よりも相手に利益を与えることに喜びを感じる行動がポイントになります。
【人々の成長】→相手の可能性や価値に気づいて、仲間の成長を促すことに深くコミットしているかどうかがポイントです。
【コミュニティ創り】同じ仕事をするメンバーがそれぞれ人々が成長できるコミュニティを創ることができるかがポイントになります。

慶應生
大川

各項目を見ていきましたが、私は特に「人々の成長」の側面が気になりました!相手が気付いていない可能性に気付くことができ、それを仕事に生かすことができたら素晴らしいと思います。でもそう簡単にできたら苦労はないですよね💦
これを実行するためにはどうしたら良いのでしょうか?何か意識した方が良いポイント等ありますか?

JB先生

もちろんです!確かに難しい部分は多いと思いますが、信じて行動してみないと何も変わりません。その手助けとなるお話もしていきましょう!

サーバントリーダーシップを実現するためにリーダーが行うべき行動を見てみましょう。サーバントリーダーシップを達成するためには、典型的な日本企業のように、マネジメントと現場社員との希薄なコミュニケーションをなくす必要があります。
そこで、まずは経営陣が現場に対して、「奉仕の精神」を積極的に見せることで、現場社員を指揮する中間管理職にサーバントリーダーシップの意識を浸透させることが大切になってきます。

サーバントリーダーシップを達成するためには、現状のピラミッド組織ではなく、あえて逆ピラミッド型組織にする必要があります。組織の中で、顧客との距離が一番近い一般社員を最上位にすることで、顧客を大切にする組織文化が可能となります。サーバントリーダーシップが実現することで顧客満足度を最大化できるのです。

サーバント・リーダーは指示・命令でメンバーとの関係を作るのではなく信頼と支援を中心に関係を作っていくことが重要になるのです。

慶應生
大川

そういえば、先述した人事の方が、役職に就くにしても、マネジャーになるにしても、「上に立つという意識をなくすこと」も重要だと仰っていました!立場が上だからとか、〇〇してあげるというマインドだとそれが逆効果になってしまうと思います。社員も役員どちらも対等なはずですし、立場が上と言って偉そうにする人と誰が一緒に働きたい(過ごしたい)と思うのでしょうか。

JB先生

サーバント・リーダーシップには様々な効果があります。

①サーバントリーダーシップを実施した場合の効果ですが、メンバーの行動が変わります。心理的安全性が保たれた社員は責任意識が生まれ、チームの一体感が生まれます
②「組織内のコミュニケーションが変わるでしょう」。心理的安全性から、円滑なコミュニケーションが生まれます。
➂「自主的に目標達成をする組織に変わります」コミュニケーションが円滑だと、自分が何をするべきなのか自主的に行動するようになります。
④「顧客目線の経営と変わる」です。逆ピラミッド型の経営は、現場の優先順位をあげるため顧客を意識する経営となります。

慶應生
大川

どんな働きをする上でも、その先にいる相手や対象をイメージし優先する姿勢は重要だと思います。もちろん自分も大切ですが、自分本位でやっていても世の中のニーズを汲み取ることはできませんし、利益を生み出すことは難しいですよね。
顧客ファースト」主義を掲げている会社や組織は多いと思いますが、実際にそれを体現できているところはあまりないかもしれません。顧客により近い社員さんや部下を大切にすることでその実現に近づけるでしょうし、相手を意識した行動はきっと何をするにしても通用する大切なマインドだと感じました。

JB先生

その通りですね。仕事関係に関わらず自分と相手を意識した行動は、より円滑なコミュニケーションや関係作りにも繋がりますのでぜひ普段から意識して欲しいです。しかし、その一方で、これには注意しなければいけない点もあります!

まず、現在のピラミッド組織に抵抗するメンバーへの説得や調整に時間がかかるということです。サーバントリーダーシップ実現には時間がかかるのです。
次に、すべての従業員が自主的能動的に動けるメンバーとは限りません。そのため、その従業員に対してフォローしながらサーバントリーダーシップを実現する必要があるということです。

慶應生
大川

サーバントリーダーシップの特徴や注意点に至るまで様々に学んできました。私はどちらかと言うと、自分が結果を出したいというよりは、チームでより成果を出し会社に貢献出来れば良いという考えがあります。だから、メンバーを大切にしたいですし、周囲から愛されるリーダーを目指しています。まだまだ未熟な部分を痛感しておりますが、少しでも改善して必要な存在と認められるように、今できることに精一杯取り組みながら、残りの大学生活も有意義に過ごしていきたいと思います!

慶應生
大川

さて、今回は「サーバントリーダーシップ」について学んでいきました。このシリーズは一旦終了です。次回は就活や社会人生活に関わる疑問や場面について、JB先生に教えてもらうシリーズが始まります!というわけで、ぜひ次回もお楽しみにお待ち下さいね!